コミュニティの話の続きを。
8世帯で構成されているとvol.3で書きましたが、その内訳はすごく多世代で、1歳〜80代までおおよそ全ての年代が揃っています。
住まいを部分的に共有して、一緒にディナーを囲んだり、時には一緒に外に出かけたり。単身、子育て世代、老夫婦、様々なライフステージの人々がいるからこそ、お互いに助け合える部分も大きいようです。
前来た時は幼かった男の子が立派な好青年になっていたり、定年退職して生活がガラッと変わったおじさまがいたり、コミュニティ内にも様々な変化があったのですが、一番のサプライズは、単身で暮らしていたレズビアンのお姉さんが、一歳児のシングルマザーになっていたことでした。人工授精(精子バンク?)で、自ら出産したんだそうです。
最初からシングルマザーになることが分かっていて子供を授かるというのは、ものすごく勇気がいるような気がしますが、このコミュニティの存在、デンマークの手厚い子育て施策が、その決断をサポートした部分は大いにあるのだろうな、と思いました。
イェンス夫妻もこの新しいコミュニティメンバー、エリオットくんに首っ丈で、「もう一人の孫だよ」と嬉しそうに話しています。大きな庭で真っ裸で水遊びをするエリオットくんの姿を見ながら、子育てをするのにこんなに素晴らしい場所もないよな、と羨ましくなってしまうのでした。
日曜日はここのみんなと一緒にバーベキューをしました。それぞれ自分が食べたいものを持ってくる形式。誰かが準備を過剰に頑張らなくても良いこのスタイルが、気楽でいちばん。
食事をしながら色々話をするのですが、仕事を引退して第二の人生を楽しむマダムたちの近況が面白かったです。なんでも最近は専門学校のコースに通ってロシア文学の勉強をしているのだとか。その前はスペイン音楽。僕がいた6年前も、そういえば大学の講座を受けているとか言っていたような気がする。
何かを学ぶという行為には、もちろん実用のためという側面はあるけれども、本来的には学びそのものが目的、楽しいことなんだよな、と、大切なことを思い出させてもらったような気がしました。
70代、80代になっても、自分の無知を意識し、謙虚にされど貪欲に知を求める姿が、かっこいいなと思うし、自分もこんなふうに歳を重ねていきたいなと思うのでした。
さて、オーフスでの生活もまもなく終わり、水曜日からはがっつり仕事モードに入るので、更新は少なく、内容も短くなっていくと思います。書きたいテーマがまだいくつかあるので、短編コラムのような形で何かアップしていけたらと思っています。
では次回もお楽しみに!